2025年1月 7日 (火)

L2(2012年) RMZ250公道走行可仕様

あけましておめでとうございます。

昨年は一度もblogを書くことも無く、1年ぶりの記載となります。

表題の通り販売車両のお知らせになります。

 

L2 2012年式 RMZ250モタード仕様(公道走行可) 走行4000km 車両価格66万円(税込

新車時、当店でナンバーを取得しましたが、足つき等を考えてモタード化しました。

保安部品はバッテリーにて駆動させています(充電系統からはあえて切り離しています)。

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ヘッドライトとサイドスタンドはRMX450というエンデューロマシンのスズキ純正品です(国内販売してません)。

フロント 3.50×17 リア 5.00×17 純正ハブにエキセルリム 前後ともチューブレス加工済

フロントブレーキローター brembo 5.5mm厚モタードディスク

ブレーキキャリパー brembo 100mmピッチラジアルキャリパー(ビレット)

ブレーキマスター brembo 16×18ラジアルブレーキマスター(機械式ブレーキスイッチ)

シート 若干削って低くしてあります

前後サスペンション 当店モタードモディファイ

作業予定、交換予定部品は下記になります(すべて新品部品)

・前後タイヤ ミシュランROAD5 120/70ZR17、160/60ZR17(追金で他銘柄も可能です)

・前後サスペンション オーバーホール(仕様変更予定)

・前後ブレーキ オーバーホール

・ヘッドライトバルブ LED化

・ウインカー 4個とも交換(1個経年劣化で折れているため)

・チェーン 交換

・エアクリーナーエレメント TWINAIR

・エンジンオイル

・バッテリー

 

注意点

RMZ250は元々オイル消費が大きく、ショートコースで走るのなら問題は無いのですが(2時間程度でオイル交換してください)、公道で使用する際は、100~150kmごとにオイルを足さないとかなり減ってしまってエンジンが壊れます。

以前、新車から2000kmほど走ったRMZ250(公道モタード仕様)でオイル交換後250kmほど走って、エンジンオーバーホールの為にオイルを抜いたら1L入っているはずのオイルが0.25Lしか出てきませんでした。

CRF250Xも同様でしたし、ピストンリングがトップとオイルリングしかない高回転シングルエンジンは、高負荷状態で使うと同様です。

その辺をご理解いただいたうえで購入をお願いいたします。

なお前オーナーは、ちょっと遠くに行く際にはオイルを持って行き出先で入れていましたし、走行毎にオイルとフィルターを変えていたそうです。

なお、特に公道を走らないのでコース仕様に戻して欲しいとか、そういうご希望にもお答えいたします(販売が決まってから整備を始めます)。

サスペンションも公道とコースでは、求めるものが違い過ぎるので、公道仕様でコースを走ってもあんまりおもしろくないですし、逆も同様です。

つまりどちらも満足できる仕様にはならないことをご理解ください(そんな都合の良いものがあれば私も欲しいです。無理なんです)。

登録される場合は、この金額に自賠責や登録費用が掛かります。

よろしくご検討お願いいたします。

メールでの問い合わせはコチラから

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2023年12月28日 (木)

年末年始のお休み

当店のお正月休みは12/30~1/3までとなります。

1/4はお昼正午より開店いたします。

 

店を始めて今年は20年目で、振り返ってみればあっという間という感じです。

何とか続いているのも贔屓にしていただけるお客様方のおかげです。

本当にありがとうございます。

 

それでは皆様、良いお年を。

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2023年8月30日 (水)

モタードマシンの作り方(その4)

やっと4回目です。

最初の回にサイレンサーを少し車体外側に移設する事もあると書きましたが、大抵はカラーをサイレンサーステーとサブフレームの間に入れることが多いですが、せいぜいやっても10mm以下でしょうか。

それ以上になりますと、カラーを入れたことによってサイレンサーのステー、エキパイの取り付け部、ジョイント部にストレスが掛かり割れや削れによって排気漏れが起こることになります。

またカラーを入れた場合は、車体に対して斜めに外に出る(前側はエキパイとつながっているのであまり外に出ないが、サイレンサー後端はフリーなので斜めになる)のですが、ネジの取り付け部は平なのでここでもあまり長いカラーを入れるとストレスとなります。

よくこういう加工がされているマシンを預かるのですが、長さが短いボルトでサブフレーム側のネジ山が舐め掛けていたり、ボルト自体はネジ山に対して斜めになるので、これもネジ山がダメになる要因になります。

 

ではどうするのが一番良いかというと、サイレンサーやエキパイ部を切って角度を変えてつなぎ直すことになります。

チョットした事のわりに工数が多いのですが、安心してトラブルのない車両にするためには仕方のない事だと思います。

で、例はリア回りの寸法に余裕のないRMZ250です(ミシュランのタイヤを履くとタイヤとスイングアームがあたるのと、サイレンサーとタイヤも当たる)。

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ミシュランタイヤ(一番太い)とアクラポビッチ(これもサイレンサー下側が太くノーマルよりも太い)の一番あたる組み合わせです。

あてている棒の太さは10mm厚になります。

このままではサイレンサーを破壊してしまうので30mmほど外に出さないといけません。

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というわけでまずはカットしてサイレンサーには必要な厚みのカラーを取り付けます。

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斜め上から見るとこんな感じです。

エキパイのもっと前方から斜めに何か所かカットして無理なくつなげられるような曲線にします。

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足りない部分が出てくるので、それはチタン板を巻いて作ります。

仮付けして合わせて問題なければ溶接します。

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本溶接して...

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こんな感じにクリアランスができました。

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サイレンサーを外に出したので、サイドゼッケンもカラーを入れて外に出します。

吸気も増えるので(音はうるさくなりますし、泥も入りやすくなりますが)モタードならヨシという感じです。

 

さてここからは無くても良いけどあった方が良いパーツです(ステム、シフター、スリッパークラッチ)

個人的な優先順位はステム→シフター→スリッパークラッチになります。

 

まずは最近変更する人がすっかり多くなったステムです。

XTRIGが多いですが、モタード用はオフセット量をノーマルよりも減らしたものになります。

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小径ホイールを履かせると、トレール量が少なくなるのでそれを補う為の物なんですが効果としては下記のとおりです。

・純粋にホイールベースが短くなる

・一番不安定なアクセルオフ時のクリップ付近での安定性のアップ

デメリットとしては

・ハンドリングが重くなる

・ハンドル切れ角が減る

 

ですが、元々ハンドリングが軽い(前荷重が少ない)ので特にハングオフで乗られている方は、取り付けた方が安心感が出るかと思います。

切れ角は、まあモタードなら問題ないレベルでしょう。

先ほど書いた一番不安定なアクセルオフ時のクリップ付近、その時にさらにステアリングを内向させるときに接地感というか抜け感が減るので、個人的にはまず入れたいパーツです。

取り付ける際にちゃんとステムベアリングにプレロードが掛かっているかどうか確認しましょう。

車種によって微妙に取り付け方が違うので、ここを確認しないと全く意味が無くなってしまいます。

またステムはハンドリングに一番敏感な部分ですから、慎重に確認しながら組み上げましょう。

締め付けトルクによってハンドリングがかなり変わりますので、この辺はご自身でセットアップとして色々と試していただきたい部分です。

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それと洗車によって水分が入りやすい部分でもありますから、チェックとベアリングのアタリの確認。

交換の際も取り外し、圧入も気を付ける部分が多い所です。

この部分がダメだと全くセットアップが進みません(問題が出ることが多い)。

中古車を買った場合には、まずばらして確認する場所でもあります。

ちなみみに過去2台ほど中古車両に付いていましたが、ちゃんと組付けられておらず大チャタリングマシンでした。

前オーナーはどうやって乗ってたんだろうかと不思議になるレベルでした。

 

 

次は私がモタードマシンを作る際には、ほぼ必ず取り付けるシフターです。

ロードマシンでは常識ですが、私は全日本初年度の2005年からずっとつけて走っています。

オフロード車両はチェンジペダルがシフトシャフトに直付けなので、センサー類が取り付けづらくなっています。

以前はバトルシフターのプル式機械スイッチ、今はヒールテックの圧力センサー式の物を使っています。

一時期光学や磁気センサーの物を試しましたが、これはちょっと使いずらいと言うかいくつか問題があるのですぐ使用を止めました。

これは取り付け方にいろいろあるのですが、根本的な問題は同じだったので使用をやめたという感じです。

 

現在使っているヒールテック製のシフターの取り付け例。

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これは2018年式CRF250Rに取り付けたものです。

今の車両はセル始動の物が増えたので、バッテリーを搭載しているので以前よりは取付しやすくなりました。

またこのシフターはインジェクターをカットする方法なのですが、電源をインジェクターから取るので配線も楽になっています。

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一番の肝は圧力センサーの取り付け方になります。

取扱説明書に取り付け方は乗っているのですが、それだと安定した動作ができない(安定している時間が短く調整が細かく必要)のと、チェンジペダルのスプライン部の消耗が激しくなるので、ウチではその辺を工夫して取り付けてあります。

チェンジペダルとシャフトに加工は必要ですが、だいぶ安定して動作させることができるようになりました。

調整も機械的な部分と感度はスマホのアプリからできるので、現地でもそんなに困ることはありません。

スロットルを開けっぱなしでシフトアップができるので、吸気の押し込み効果が途切れることが無く確実にタイムアップすることができます。

ただ操作や調整に慣れは必要です。

 

次はスリッパークラッチです。

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スリッパークラッチはエンブレを制御するパーツなんですが、メリットとしては...

・エンジンブレーキの効き具合の制御ができる(エンブレの強弱)

・シフトダウンがしやすくなる(アクセルオフ時にはクラッチ操作が不要になる)

・アクセル全閉から開け始めが少しやり易くなる

・スライド時にクラッチ操作が不要になる

 

デメリットとしては...

・ノーマルのクラッチユニットが付いていたスペースに、複雑な機構を入れてあるので、多少設計に無理のある物もあり、ノーマルよりもマメなチェックが必要。

・クラッチスプリングがコイルスプリングから板バネになるので、半クラッチの幅が狭くつながりが少し唐突になる。

・エンブレの制御ができるが、全てのコーナーで同じようになるのでコーナーのRによってエンブレを強くしたい、弱くしたという細かい設定はできない。

・アクセルオフ時につねに半クラにしているので、ノーマルよりはクラッチ板の消耗は激しい。

 

個人的には450ccのモトクロッサーベースだとあったほうが良いと思っています。

これはバックトルクが強いので、合ったほうがクラッチ操作が楽になるから(450はクラッチが重い)。

スリッパークラッチを入れると動作中に半クラをするとレバーで指が叩かれるモデルもありますが、そうならない物を使うと細かいバックトルク管理もできます。

 

逆に250ccのモトクロッサーベースなら私は使いません。

理由は元々バックトルクが強くないので、スリッパークラッチを入れるとエンブレ効かなさ過ぎて旋回がうまくできない(スライドがうまく使えない)からです。

エンブレの調整はアイドリングを上げたり下げたりして調整していました。

 

市販車(例えばWR250Xなど)はあった方が良かったです。

まずギア比がワイドなので、1速落とすとエンブレがかなり強いのと、ブリッピングしてシフトダウンさせようにも回転の上りが遅いのでぎくしゃくしやすく合わせにくかったからです。

特にファイナルをショートにして乗ってる場合には、効果は大きかったです。

 

街乗りの車両だと私は使いません。

コースほど忙しくないし、街乗りだと半クラを使う時に半クラ領域が狭いので気を遣うからです。

 

この辺は個人的な感想ですので、入れて早い人、入れてなくて速い人いますので、これはご自身で試していただくしかないでしょうかね。

その割にはそこそこ高いので、躊躇しやすい部品かもしれません。

ウチでは最近入れる場合はSUTER製の物を入れる場合が多いです。

これはエンブレの制御をするセカンダリースプリング(1枚1万円弱する)が複数枚付いてくるので、セットアップの幅がある(試しやすい)。

エンブレ時にクラッチレバーをさらに握りこんでも、レバーに叩かれることが無い(STM物は叩かれるものが多かった)。

クラッチセンターが緩みにくい(すべてでは無いのですが...)これはSTM比でしょうか。

 

ただ、どうしてもノーマルよりは削れる部分やスプリングが割れることなどあるので、定期的なチェックは絶対に必要です。

表面のアルマイトが剥がれかけたじょうたいであれば、再アルマイトすればまた問題なく使えたりしますので、使いっぱなしにはしないようにした方が良いでしょう。

 

次はメインテナンスとかにしようかと思ったんですけど、例えば中古の車両を買ってまずすることって考えると...

 

「全バラ」

 

としか言えなくなるのでどうしましょうかねぇ...

 

 

 

 

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2023年6月26日 (月)

モタードマシンの作り方(その3)

シーズンインして何かと納期が短い仕事が増えて、すっかりご無沙汰になってしまいました。

 

今回はブレーキ編です。

ブレーキと言っても、モトクロッサーなどの車両をモタード仕様に変更する際は、フロントのブレーキの変更がメインになります(リアの大幅な変更はあまりありません)。

モトクロッサーのノーマルフロントブレーキは、年々ブレーキローターは大径化していますが、いかんせん厚みが3mm程度なので、カートコースなどを走るとすぐにフェードしますし、ローター自身が薄く熱容量が足りないために皿状に変形します。

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ストレートエッジとブレーキローターの間に隙間があります。

これは減った物ではなく、反っています。

そして熱が入ると(ブレーキを掛け続けると)さらに反り、冷えると少し戻ります。

こうなると2度と元には戻りませんし、ブレーキを掛け始めローターが反っているのを平らにするためにストロークを使い切ってしまい、ブレーキレバーはグリップまでくっついて、全く止まらなくなってしまうでしょう。

 

そんなわけで、効きとコントロール性、安定したブレーキングの為にブレーキシステムの変更を行います。

・ブレーキローター 厚みが厚い物(5mm~5.5mm)そして外径が大きい物へ変更します(Φ320が主流です。これはキャリパーとスポークとの干渉を避けるためという意味もあります)。

・ブレーキキャリパー CRF150Rや市販車を除くと対抗4ポットキャリパーが多く使われます(ピストン径はまた後で)

・ブレーキマスター これも今はラジアルマスターが安く手に入るようになったので、ラジアルマスターが主流ですね。

当店ではブレーキ回りはbremboを使う事が多いです。

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信頼性と部品の入手のし易さ、ブレーキパッドも種類が豊富でスペアパーツも入手がしやすく、対応する社外品も多いのでレース会場などでは安心感があります。

ちなみにブレーキローター、キャリパー、マスターとブレーキシステムの中で一番大事(本当はどれも大事!)なのはブレーキローターだと思ってます。

ダメなローターは熱に負けてすぐ反る、チャタの原因になる、変形してしまうと常にブレーキパッドと接しているのでホイールの回りが悪いうえに、熱が入ると軽くブレーキが効いた状態になって突然切れ込んで転んだりします。

そんなブレーキローターも消耗品です。

使っていればダメになります。

 

 

新品だとガタはこのくらいです。

 

消耗しているのはフローティングピンだけでなく、インナーも減っていますのでこうなったら新品交換ですね。

なお外周が軽くなっているペータルローター(ウェーブディスク)は、まあ250ccくらいまででそれ以上の排気量では私はお勧めいたしません。

軽いのは魅力ですがその分熱容量が足りないので、変形しやすい傾向にあります。

この辺は製作者の意図で変わるので、「ワタシ」は使わないという意見です。

 

純正部品ではない物を取り付けたら、必ず寸法のチェック(部品間の干渉)を見ないといけません。

ブレーキローターもノーマルよりも厚いものは、フローティングピンがサスペンションが沈むとアウターチューブと接触するものがあります。

モタードマシンでは、大抵オフセットが無い物を使う場合がほとんどです(ノーマルハブと同じ寸法の場合)。

ちなみにRM-Zはbremboの5.5mm厚みのローターを使うと、フローティングピンとアウターチューブがこすれますので対処が必要です。

また厚みが増えるので、ブレーキローターの取付ボルトの頭がアウターチューブと干渉する場合もあります。

一回サスをフルストロークさせるなりして干渉を確認してください(バネの無い状態でアウターチューブをフルストロークさせる)。

 

ノーマルよりも厚みがあるブレーキローターを使うと言う事は、ブレーキキャリパーのオフセット量もノーマルとは変わることになります。

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これはYZ用で市販されているキャリパーサポートです。

オフセットが合っていないために切削してオフセット量を合わせます。

専用品と銘打っていても、必ず寸法の確認は必要です。

もう一つΦ320のブレーキローターを使うのは、キャリパーとホイールの干渉(スポークホイールの場合)を避けるためでもある場合が多いです。

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これはYZ450Fにbremboの100mmピッチのP30/34レーシングキャリパー(Φ30ピストン×2、Φ34ピストン×2)を使用した場合のスポークホイール(ノーマルハブ17インチ)とのクリアランスです。

17インチよりは16.5インチの方がスポークとキャリパー間のクリアランスは大きくなりますが、レインで17インチを履く場合など干渉具合を確認することは重要です。

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これはCRFに40mmピッチP30/34キャリパーを装着する場合、17インチのスポークホイールだと干渉するのでキャリパーを切削しているところです。

こういう事もあるので、キャストのキャリパー(安いんですけどダストシール付きで幅が広い)は使わずレーシングキャリパーを使用します。

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キャリパーサポートを介しての取り付けの際には、パッドのアタリも確認します。

ブレーキローターの内側、外側両側ちゃんと確認しましょう。

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ラジアルキャリパーの場合、キャリパーサポートにカラーを追加してパッドとローターのアタリを調整します。

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キャリパーサポートの設計が悪いと、ブレーキローターに対してキャリパーが傾いていたり、パッドがちゃんと当たっていない物も市販されています。

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これはパッド外周があたっていませんね。

気が付かずある日パッド同士がくっついてブレーキが効かなくなります。

 

それと16.5インチを使う場合、キャリパーの脱着がかなり大変になりますが、と言うよりかキャリパーを少し削らないと取り外しができなくなります。

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内側を少し斜めに削りこまないと脱着できません。

 

次はマスターですが、キャリパーのピストン径に合わせて選択することになります。

先ほどのP30/34キャリパーですと、多い組み合わせはΦ16×18のラジアルマスターでしょうか。

もっと柔らかいタッチが良い方はRCS15を使います。

予算がある方はΦ16×16というのもあります。

この辺は効きとタッチ、ストローク感との兼ね合いで決めることになります。

 

レバーも好みです。

bremboですとロングとショートのレバーがありますが、これはレバーの長さだけでなく曲がりも違います。

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上の2本はロングで、下はショートレバーになります。

ショートの方がロングに比べて抉りが大きく(ドッグレッグなんて言われます)、ロングよりもグリップに近くなります。

ショートの方が握った感じタッチが固く感じるので、私はロングレバーの先端をカットして使う場合が多いです。

この辺はもう純粋に好みですので、色々と試してみてください(パッドとの兼ね合いもありますので)。

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これはRCS15ロングレバーの物を取り付けています。

オイルタンクは小型の物を使い(RCSの場合はS15A、通常のラジアルマスターではS15Bを使用)、オイルタンクステーはアルミ3mm厚の板材から切り出しています。

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パッドも完全に好みですが、使っていてバックプレートが反るものもあります。

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これはかなり減っていますが、ここまで減っていなくても反るものはあります。

ブレーキの遊びが増えたり(熱が入ると特に)、ホイールの回りが悪い時は確認してください。

 

次にマスターとキャリパーをつなぐブレーキホースです。

注意点として

 ・長さ(フロントフォークを全部伸ばした状態で採寸する事。短すぎれば破断しますし、長すぎればガード類やタイヤとこすれて危険です)

 ・向き通し方(ハンドガードとの干渉やフォークガードに対する取り回し方など)

 ・ガイドチューブと固定方法

 ・バンジョーの材質(市販車はステンレス推奨)

 

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まずはスタンドに乗せてフロントフォークが伸び切った状態で、必要なブレーキホースの長さを計測します。

通常はフォークガードのクランプから先は、フォークガードの外側を通しています。

メリットデメリットはあるのですが、この方がメリットというか安全性が高いという理由です。

 ・フォークガード内側は、タイヤとの干渉を避ける為にカットされているので、内側を通すとブレーキホースが沈んできたアウターチューブと接触する場合がある。

  しかもその際に下側に向けてホースが押されると、ブレーキローターとホースが接触する可能性が大きい。

 

これは実際激しく上下動でしますので、クリアランス狭いと本当に危険なんです。

過去にホースがブレーキローターにあたって切れている物を、何度か見ております。

 

ブレーキホースを外回しにすると転倒した際や他車との接触時に損傷する可能性がある。

 

どちらを選ぶかというわけで、私は外回しを選択しています。

 

ガイドチューブは必ず取り付けてください。

社外品のホースでは、オフロードやモタードモデル用にガイドチューブが入っているものがありますので、それを選びます。

入っていないと300mm程度のストローク量があるので、ブレーキホースをたわんでタイヤと接触することが多くあります。

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フォークガードのクランプ部ですが、これはガイドチューブ下側を収縮チューブで2重に保護した部分をクランプしています。

クランプで来ていないとホースが上下に動いて、これもまた上下動が激しいのでホースがいろんなところに接触、または引っかかったりします。

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あとゼッケンのこの指さしている部分はカットしないようにしましょう。

これはブレーキホースの通り道で。これが無いとサスペンションがストロークした際にゼッケンの端にブレーキホースが引っかかったままサスペンションが伸びてサスペンションが伸び切らなくなったり、ホースが切れたり、バンジョーが緩んだりします。

ハンドガードの取り付け部で右側にカラーが入っているのに(ラジアルマスターとの干渉)左側にカラーが入っていないのは、同様にブレーキホースが引っかかる確率を下げる為になります。

同様な理由で、ブレーキホースが長すぎるのも、ゼッケン前で暴れるので危険です。

 

よく市販車でライトカウルからゼッケンに付け替える方がいますが、ホースが長すぎるのとホースガイドが無かったり通し方が悪い人が多いんですけど、あの状態でジャンプを飛んだりすると同様なことが起きるので大変危険です。

というわけでブレーキの変更というだけでも、見ないといけない部分が多いと言う事と、やらないと危険案ですよと言う事がわかっていただけると嬉しいです。

 

最後に以前私が乗っていたYZ250Fのブレーキ周りの動画です。

ホイールはCBR900RR(SC33後期)のホイール、ベアリングは普通のシールベアリング(ダストシール無)、ブレーキローターはサンスターのΦ298のR25用、キャリパーP30/34の40mmピッチ、キャリパーサポートはオリジナル、パッドはサンスターのレーシング、マスターはRCS15です。

ブレーキローター径が小さいのは、250ccなので制動力がそこまでいらない(大径ローターは効き始めがガツンと来るので)、キャストホイール前提なのでこれを使っています。

厚みも4.5mmで薄いんですけど、トラブルはありませんでした。

 

こうやって回すだけで、引きずりが無いかを見ることができますので、チェックしましょう。

 

さてハンドル周りと言えば、モタードですとハンドガードを付ける場合が多いです。

これはラジアルマスターやクラッチレバー(ホルダー)などが直接アスファルトに叩き付けられる場合(まあ転倒も多いので)を想定して、生存性を上げるためです。

そうなるとアルミの芯が入っている物を使う事が多くなります。

メリットとしては...

 ・頑丈である(樹脂のみでアルミの芯が無い物と比較して)。

 ・それ故に保護性能が高く、生存性が高い。

 

デメリットとして

 ・取り付けが困難

 ・重くハンドル周りの剛性が上がるために、ハンドル自身のショック吸収性が下がり、ギャップなどで固く感じる。

 

樹脂のハンドガードは、転んでも大丈夫な場合もあるんですが、瞬間的に変形していて転んだ後に見てみると、ハンドガードには損傷はあまり無いのですがレバーなどは曲がっていたりすることもあります。

 

ハンドガードはこの辺のメリットデメリットを考えてチョイスすることになります。

個人的には街乗りの際はハンドガードつけたくはないです(重いし、軽快感は無いし、ハンドル周りはスイッチ類が多くて猥雑だし、ハンドルの衝撃吸収性が悪い)。

ですがレースやサーキット走行での使用だとアルミの芯入りの物を、私は選びます(転んでもブレーキ周りが壊れず、まだ勝てる可能性がある)。

 

というわけでアルミの芯が入っている物の取り付け方です。

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これが私が取り付けた場合の例になります。

注意する点としては

 ・ハンドガードの端とハンドルの端面とずれが無く隙間が無い事

 ・ハンドガード車体中央側の長孔取り付け部の外側にネジを取り付ける事

 ・ブレーキホースとの干渉を避ける事。また、多少ずれても干渉しないようにすること。

 ・スロットルチューブとハンドガードの間には、隙間を設ける事(この画像の物はハンドルを短く使うのと同じ効果を持たせるために、隙間が大きいです)

 

当店ではCYCRAのハンドガードを使う事が多いです。

理由は「頑丈」ただそれだけです。

ハンドガードは曲げないと取り付けできないのですが(ハンドルは多くの種類ありますが、ハンドガードは各メーカーとも1種類しかありませんので)、その際に当店では重さ100kg以上ある鉄のテーブルに固定した万力にハンドガードをくわえて、そのハンドガードに1m程度のパイプを用いて曲げるのですが、CYCRAのハンドガードはこの鉄のテーブルが持ち上がるくらい力をくわえて初めて曲がります。

国内製品ですとZETA製の物がありますが、同様に万力に加えて片手で曲がります。

まあその分重いしハンドルも硬くなります。

固定の際はUクランプを使います。

これはブレーキホースやクラッチワイヤー、配線などの導線確保のためです。

他にもトップブリッジにマウントするものもありますが、これは激しく転倒した際にトップブリッジまで曲げてしまうので、フロントフォークの作動性に影響するので、私は使いません。

 

まず取り付ける前にスロットルチューブの加工やグリップのカットを行います。

以下に示すのはダメな例です。

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スロットルチューブの穴あけ径が小さく、このままハンドガードを取り付けた際はスロットルが回らなくなりますし、右に転倒した際はスロットルが開いたまま固定される可能性が高いです。

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スロットルチューブよりもグリップが長いと、スムーズにスロットルが開閉できません。

よくこの部分で泥の侵入を防ぐという方もいますが、あまり変わりませんのですっぱりとグリップをカットしましょう。

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これもグリップが少し長い(ハンドガードと接している)のと、ジュラコンのバーエンドを付けていますが、これを取り付けると締め付けトルクが上げられないので、転倒した際にハンドガードが動きやすくなります。

またハンドガードとハンドルの端面の角度が合っていないと、バーエンドのボルト(大抵M8ですが)が転倒した際に曲がります。

それと真っすぐじゃないと締め付けできていませんので、ハンドガードが緩みやすくなります。

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これもクランプがクラッチホースと干渉しています。

転べば間違いなくホース類を破壊します。

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これはクランプの前側が締め付けられていません。

こういう例はものすごく多くて、まず前側のネジを締めて次に後ろ側のネジを締めるとこうなます。

そうなんですあまりちゃんとクランプできないんです。

ですのでこのタイプは使いません。

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これもクランプとブレーキマスターのバンジョーボルトと干渉しています。

これで転んだら破損します。

それとこのタイプのクランプは、横方向から力が掛かると内側にすぐ曲がってしまうので変形しやすくなるので使用しません。

 

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これが変形した状態です。

もうレバーも守っていない状態なので意味がありません。

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曲げる際はプレスなどを使ったり(そうしないと端面に近い部分は曲げられない)、曲げる方向も3次元的にねじりながらとか結構大変です。

そうしてハンドル端面とクランプの前面とで角度も合い隙間も無いようにしてから、ネジでしっかり締めこみます。

隙間が空いている状態からネジで強引に締めこむのはダメです。

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またクランプとの結合部で、ハンドガードの長孔の外側にボルトが来るようにするのは、長孔部分は強度が無いためにねじれて曲がりやすくなってしまうためです。

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こうして初めて、転倒してズレ難いアルミの芯入りハンドガードとしての機能を果たします。

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ラジアルマスターを使用する場合は、ハンドガードをかなり曲げなおした上に、カラーを追加してクリアランスを作ります。

市販車はこれにスイッチボックスなど場所の制約が増えるので、もっと大変です。

でも一番大事なのは、付けられるところに付けるのではなく、付けたい場所に付ける。

ポジションとしてレバーの位置や角度が一番大事で、その為に色々と加工をします。

操作性を無視して、付けたいから付けるでは何の意味もありません。

 

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2023年5月21日 (日)

モタードマシンの作り方(その2)

モタードマシンの作り方の続きです(その2)

細かく説明したり、実例を挙げていくとものすごい量になるので(画像をあさっていて言いたいことや注意点を考えていたら、ものすごい量になった)、そこそこ端折っていくことにします(終わらないので)。

 

過去に書いたもので、個人で作ったモタード車両の手直しや修理等、とんでも改修(おかしいなと思ってバラしたらびっくりした内容)などが比較的まとまっている月があったので、リンクを貼っておきます。

 

過去の記事(2020年1月)

 

前回の記事にホイールサイズGP3用(F2.50×17、R3.50×17)というのがありましたが、これは250cc(S2車両)やS3車両の中でもミニモトクロッサー(2stの85ccやCRF150R)ですね。

S2ですとレギュレーション上スリックで良いのですが、S3だとパターンタイヤになります(レースに出なくてサーキットを走りたいだけという方は特に関係ありませんが)。

ちなみにGP3スリックのメリットとしては...

 ・安い(通常のモタードスリックと比較して。またパターンタイヤよりも持ちが良いので、結果的に安い)

 ・車高が低い(細いタイヤはハイトも低い。また、車高を下げても旋回しやすいので、ミニバイクから乗り換えるのならアリだと思います)

 ・細いのでバイクの倒しこみが軽い

 ・タイヤが細いとダートでの轍等走りやすいし、トラクションも掛けやすい(タイヤが喰う)

デメリットは

 ・見た目に迫力がないw

 ・スライドを多用する走りには向かない

 

S3マシンで普段はパターンタイヤで、たまにスリックを履くとグリップが強くて曲がらなくてタイムがあまり変わらないと言う事が起こります。

 

街乗りの方向けですが注意点としては下記になります。

 ・タイヤの表記と実測値は違います(α13の150幅表記で実測160mmあるなどホイールのオフセットをし直す必要や入らない物もある)

 ・F3.50リムの場合、リッターSSやツアラーと同じタイヤを使う事になる(剛性があり過ぎて接地感が無い)

 

というわけで意外と使えるタイヤは少ないですし、相性もスリックよりも難しかったりします。

特にレーサーにナンバーを取って公道で乗る際に顕著になります。

車重が軽くハイパワーなものほど、ちょっとしたことでバランスが崩れるので、難しいんですよ。

今だから言いますけど、イタリアンハスク、KTM690SMCRもしばらく乗りましたけど燃調や、足回り、ファイナルもそこそこいじらないと乗って楽しい車両では全くなかったです。

まあ、どんな車両でもあくまでベースで、手を加えたり調整しないと使えるものではないと(乗りづらい)思っていただいて良いと思います。

個人的にはDR-Z400SMが公道で乗るモタードとしては一番好きです(ただし改修点は多岐にわたります)。

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ちなみにどちらもタイヤはROAD5を履かせてあります。

サーキットを走るわけでもないですし、峠位ならこのくらいでちょうどいいです。

ミシュランやピレリなど外国製タイヤは、ケース剛性が低く空気圧でフィーリングがかなり変わります。

大きい車両向けのタイヤを履くことになるので、調整幅はあった方が好みに合わせやすいかと思います。

 

ホイールの話を少し追加でしたいと思います。

スポークとキャストのメリットデメリットも少しお話ししたいと思います。

 

スポークホイール

 ・安価(キャストホイール比。今はコンプリートホイールで安い物も多く、ノーマルハブを使うよりも安上がりな物も多い)

 ・フロントブレーキキャリパーとの接触を避ける為に、キャリパーやブレーキディスク使用できる物の選択肢が少なくなる。

 ・スポークは必ず緩む(正確にはテンションが抜けるので定期的な増し締めが必要。)

 ・チューブが必要。チューブレス化した場合定期的なチェックが必要なのと、タイヤの相性がありエア漏れするものがある。

 

キャストホイール

 ・高価(マルケジーニでCRF用F3.50×16.5、R5.00×17前後セットで352000円)

 ・キャリパーとの干渉を考えなくていい。

 ・エア漏れの心配がない。

 ・普段のメンテナンスが楽(スポークのチェックなどが無く、ベアリングは1個1000円程度)

 ・ホイール部分は一緒でアタッチメントが車種専用なので、他車種に乗り換えても継続してホイールを使える(長く使うなら安価になる)

 

特性としてキャストはスポークよりも高剛性です。

これはメリットでもありデメリットでもあります(どちらのホイールでも)

オフロードではスポークの方がしなやかでトラクションさせやすく、高速コーナーではキャストの方が剛性感があります。

あと、スポークホイールでリムが曲がると修正は難しいのですが(叩いてOKというのであれば別ですが)、キャストは多少なら修正もできます。

ちなみにマルケジーニはレースで17年も使っている人もいます(同じホイールを)。

 

まあこの辺は好みと予算でしょうか。

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スポークホイールをチューブレス化した際は、必ず石鹸水等でエア漏れのチェックを行います。

これはタイヤ交換した時やスポークを増し締めした際も行います。

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エア漏れはリムとタイヤの間、もう一つはニップルからの2種類になります(重要)

FS450に使われているアルピナのホイールは、ミシュランの16.5インチタイヤを履くとかなりの確率でスローパンクチャーがでます。

この場合はリムとタイヤの間からのエア漏れになります。

この辺は相性があるので、実際に試してみないと分からない部分でもあります(中古タイヤとかは漏れる確率が高くなります)。

 

チューブレス化にも触れておきましょう。

私がチューブレス加工する際はOUTEXさんのチューブレスキットを使っています。

お客様の依頼で行いますが、いくつかのコンプリートホイールではお断りしています。

それは最初はうまく施工できても、後々漏れることが何件かあったホイールがあるからです。

構造上しょうがないのですが、チューブレス加工したホイールで出先でエア漏れ(パンクではない)になると、修理することもできなくなるので大変困ることになります。

 

下の画像はそうなった後、非常に困った修理がされた例です。

Wheel2

 

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タイヤ交換だけのつもりで、タイヤ外してこうなっていると、大変困ります(私もお客様も)。

また、中古のホイールに施工する際も手間がかなり増えます。

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まずオフセットが合っているか、そして振れが無いかチェック。

で、その後にこういうサビや出っ張っている部分、リムの内側にこびりついてるタイヤクリームのカスを除去して、やっと施工できます。

正直、中古は新品の倍は時間が掛かります(まあ、新品でも振れやオフセットは見ます)。

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これはニップルがかなり出っ張っている物です。

これに真っすぐテープを貼っていくのは、かなり困難です。

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手前から2個目と3個目では、ニップルの飛び出し具合が違いますよね。

ニップルを交換して施工する場合もあります(普通に組んだ方が早いんで2度手間なんです)。

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ちゃんと施工するとこんな感じになります。

スポークホイールはどうしてもスポーク折れがありますので(大抵スプロケット側のハブ部スポークの頭が飛びます)、その場合はこのテープを一部カットして、スポークを入替てまたテープを張る作業が必要になります。

モトクロッサーとかはハブダンパーも無いですし、450の特にCRFシリーズはスポークが32本と少ないので(普通は36本)まあよく折れます。

KTM690SMCなどは違った形で(巨大なリムバンド)エアをシールしていますし、アルピナも違う方法です。

ただ、ほぼすべてのスポークホイールでスポークの張りをチェックするのは必須です。

 

痛い代償を受けることがありますので...

 

※追記

スポークホイールは新車時、及び製作後初走行時は一番緩みます。

その後数回は乗るたびにチェックした方が良いです。

正確にはニップルとリムが走行時に叩かれてスポークへのテンションが抜けるのが「緩む」と表現されます。

しばらく走るとアタリが付くので、過度に緩むことは無くなります。

新車のモトクロッサーのナラシで、嬉しくてジャンプ飛びまくってニップルチェックしないと、一日でスポーク折れるなんてこともあります。

 

ちなみに前回のblogでお話しした、スプロケットが締められないホイールとかこういう物です...

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スプロケボルトとスポークとのクリアランスがありませんね。

つまりメガネレンチが入りません(クロウフックなら入るものもあります)。

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ボルトを限界まで短くして、メガネレンチを薄くして(初めから薄い物もあります)締めます。

ナットの2面幅を小さくしたり、結構苦労します(設計者は何を考えているんでしょう)。

ナットの方で締めないと、スプロケット飛ばしますので大変危険です(変な社外品ボルト&ナット、信頼できないチタン品など)。

 

もう一つスプロケットの座面の画像もあったので貼っておきます。

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アタリが悪いですね、鉄のスプロケットでも割れたのを数回見たことがあります。

こういうのはちゃんとしてボルトを使っていても緩む場合があるので、割れたりボルトが飛び出してスイングアームと接触したりします。

 

スポークとの干渉もあるのでフロントブレーキも一緒に書きたかったのですが、長くなったのでブレーキはまた次回にしたいと思います。

 

 

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2023年5月10日 (水)

モタードマシンの作り方(その1)

最近は雑誌とかで作り方や参考記事があるわけでもなく、解説もあまり見ないのでモタードマシンを作る際に気を付ける点などを書いていこうかと思います。

最初は「ホイール」編です(タイヤを含む)。

モトクロッサーを改修してモタードマシン(サーキット走行用)を作る場合と、市販車で一般道走行向けの場合とでは使うホイールサイズやタイヤが異なりますのでその辺は分けて解説します。

 

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私が乗っていた2020 YZ250Fです。

製作した際の簡単な紹介はコチラから。

 

レーシングマシン(450cc,250cc等モトクロッサーベース)

サーキットで走る場合、モタード用専用タイヤとしてスリックタイヤが発売されています。

これらを使用するのが一般的となります。

理由としては...

 ・専用タイヤなので剛性やグリップ等モタード用に作られており、セットアップしやすい(17インチスリックはST1000やJSB用が多く車重も重くスピードレンジも違うのでセットアップしにくい。

 ・高価ですが市販タイヤと違って溝が無いために(有るものもありますが)、減り方が綺麗で持ちも良い。

 ・レース等では周りも同じものを履いていれば、こちらも履かないと相手が有利になりますし、多くの人が使っていればセットアップに迷った際にも参考データが多い。

 

上記の理由でモタード用専用スリックを使えるホイールサイズを選定することになります。

フロントホイール

 ・3.50×16.5(BS、ミシュラン、メッツラー)

 ・3.50×16(ミシュランは2.75×16を推奨していますが、あまりそのサイズが無いので。タイヤ外径2.75×16よりは小さくなります)

 ・2.50×17(GP3用スリック)

 ・3.50×17(レインタイヤ用。BSは16.5インチのレインタイヤを市販しておりません。レインはBSという方は多いですね)

リアホイール

 ・5.00×17(一般的スリックですとこのサイズです。ミシュランは4.50幅を使うとBSやメッツラーに近い外径になります)

 ・5.50×17(ヨーロッパはこのサイズが多かった印象です。エッジグリップが良くなりますが、切り返しは重くなります)

 ・3.50×17(GP3スリック用サイズ)

 

さらにホイールは、スポークホイールとキャストホイールがありますし、スポークホイールでもノーマルハブを使う場合とハブも社外品で出来上がった物を買う場合とがあります。

 

最近はスポークホイールでハブごと全部組み上がった物で安いものもありますので、それらを選ばれることも多い印象ですね。

ですがボルトオンとうたわれながら、付けてみると不具合がある場合もあります。

ですので装着して確認することが大事です。

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フロント

 フォークガードを外した状態で一回ホイールを組んでみましょう。

 そしてホイールがちゃんと左右インナーチューブのセンターにあるか確認します(リムの端からインナーチューブまでの隙間を左右測定します)。

 

左右で数値が同じであれば問題ありません。0.5mm以上ずれている場合(と言いつつまあ1mm)ずれていたらスポークのオフセットを変えましょう。

社外品のハブの場合、ブレーキ座面のオフセットが間違っていたりすることもありますので、その辺の確認もした方が良いですね。

これは年式違いの物を購入した場合など変わっていることもありますし、まずは測定して正しいか正しくないか確認することが大事です。

 

大幅にオフセットがずれている場合など、元々オフロード車のフォークスパンは狭いので、タイヤとアウターチューブが接触する場合も良く見られます。

コーナー中に荷重が掛かってフォークが沈んだ際にアウターチューブと接触、ブレーキング時も同様の事が起こります(大変危険です)。

社外品を付ける際は、まずは確認する癖をつけると後々問題が起こることが少なくなります。

 

キャストホイールの場合、現在手に入るのはマルケジーニくらいですが、これはちゃんとしてるのでステムのフォークスパンが広がってない限りは問題ありません。

あとキャストと言えばミシュランの16インチを履くためにCBR900RR(SC28、SC33)のホイールを使うのが多いですが、ちゃんと計測してデータを持っている所に頼みましょう。

モタードが始まった頃、マグホイールを付けている方がいましたが、ジャンプを飛んで着地した瞬間にホイールのリム部が裂けるのを見ました。

使わない方が安全です(ロードレースでもクラックチェックを欠かしませんから)。

 

確認が済んだらタイヤをはめますが、もう一つやることがあります。

フォークガードをカットしないとホイールやタイヤ、ブレーキを大径化している場合はそれらにも干渉します。

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私はまっすぐ上から下までカットします。

理由は少しくらい残すよりもカットする際の手間が楽なのと、タイヤウォーマーを使用する際にタイヤにぶつからない程度ギリギリにカットしたものは、大抵タイヤウォーマーに引っかかって外すのに難儀するからです。

 

リア

 リアホイールは車体の中央にホイールの中央が来ることはまずありません(GP3スリックを使う場合を除いて)。

 MX用のタイヤよりも使うタイヤがかなり太くなりますし、チェーンラインも外にずらすことはあまりできません(後ろ側は多少外に振れますが、ドライブスプロケット側はたいていフレームと干渉しますので)。

 

 ホイールはめる前に、取り外しし易くするための加工をします。

 ・チェーンガードの加工

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チェーンガード取付ボルトのナットがスイングアーム内側についている場合が多いです。

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これを皿ネジに変更して、ガードも皿揉みしてボルトの頭が出っ張らないようにします。

画像でチェーンガードの樹脂部分もカットされているのは、スプロケットを外側にさらに出してあるので、干渉するのでカットしてあります。

 

チェーン

 今は軽量で幅がノンシールに近い寸法の520サイズのチェーンがありますので、これらに交換するタイヤとのクリアランスが取れます。

 ファイナルが変わる場合も多いですので、この辺は一緒に換えてしまうのが良いでしょう。

 おすすめはDIDの520ERVTです(個人的にカシメジョイントをお勧めします。クリップ飛ばして大変な目にあった人を見てるので)。

 

スプロケット

 MX仕様よりはロングになる場合が多いと思います。

 この時社外品のハブの中には、スプロケットボルトのナットが締めることができないような物も結構多いです(スポークが干渉する)。

 ストレートタイプのメガネを薄く加工してやっと取り付けできる物や、本当に取り付けできなくてナットの径を変更せざるを得ない物もあります。

 注意してください。

 それと安いスプロケットでは、皿ネジの座面が悪い物(ボルトが緩みやすい)、真円度の悪い物なんかもありまして、この辺は信用のおけるメーカー品が良いですよ(isaとかSUNSTARなど)。

 スプロケットが割れてチェーンがロックして大変な事になったり、スプロケットボルトが緩んでスイングアームに突き刺さってロックしてスイングアームもハブも全部だめにした物も見たことがあります。

 スプロケットボルトも変な社外品は使わない方が良いです。

 

ここまで来たらまずは使うタイヤをはめて車体にセットしてみましょう。

そしてチェーンとタイヤとのクリアランス、右側のスイングアーム内側とタイヤとのクリアランスを確認します。

5.00×17で160サイズのスリックを使用する場合は、リアホイールのセンターは5mm以上右に寄っていて普通ですし、なんならチェーンラインも真っすぐではない場合も(スプロケ座面が外に出してある)よくあります。

そんなの許せないという方は、モタードできませんのでお帰りください。

 

なお使う車両が中古の場合、この時にチェーンスライダーとチェーンガードの樹脂部分は新品にしましょう。

ここが減っているとフリクションも多いですし、走っていてチェーンが横ブレすることが多くなります。

それはつまりチェーンがタイヤを叩くことが多くなり、無駄ですしチェーンの寿命を早めますし、なんならリムとチェーンが接触する事もあります。

 

なおホイールはチェーン引きを調整して、リアタイヤが一番前の状態でもスイングアームとかに干渉しないかチェックしましょう。

RMZやKXは干渉する場合が多く、スイングアームの加工尾が必要になる場合が多いです(使うタイヤにもよりますが)。

 

次はタイヤとサイレンサーが当たらないかのチェックです。

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これはRMZ250にミシュランタイヤ、AKRAPOVICのサイレンサーを装着した場合です。

あてているバーの厚みは10mmですので、まあ30mmほどサイレンサーを外に出さないとタイヤとぶつかって折れてしまうので、この場合はエキパイをカットして外に出します。

これが移動量10mm以下ならカラーを入れてそのまま外に出すことにします。

AKRAPOVICはちゃんとしてるので、外に振れません(無理に外に出せますが、そうするといずれ割れますし、ジョイント部からエアを吸って音量が大きくなったり、エア吸ってセッティングがずれます。やめておいた方が良いでしょう)。

主要スリックのリアタイヤの寸法を記載しておきます。

リアタイヤで5.00幅のホイールに履かせた場合の実測寸法です。

・ミシュラン 幅162.5mm 外径620mm

・ブリジストン 幅159mm 外径628.5mm

・メッツラー 幅160mm 外径630mm

ミシュランは公式では4.50幅リムに組んだ場合 幅161mm 外径624mm

 

ホイールを組みましょうというだけで、そこそこ見なくてはいけないところ、加工が必要だと言う事がわかっていただけたでしょうか。

慣れている方は良いのですが、初めてやる方や他のカテゴリーから来た方は、わからないので結構面倒だと思います。

 

それとフロントホイールがMX仕様からかなり小さくなるので、私はフロントフェンダーは短くしたい派です。

長いままだと、速度域も高くなっているのでフェンダー先端が揺れるのが嫌ですし、チャタの増幅にも一役買っているようで嫌なんです。

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これは珍しくフロントフェンダーをカットしなかった2023 YZ450Fです。

奥の2020 YZ250Fはフェンダーをカットしてあります。

 

次回は街乗りバイクのホイールとフロントブレーキの解説をしたいと思います。

 

なおフロントに16インチを履く場合の定番CBR900RRホイール、当店では2本在庫を持っております(SC33後期)。

各車種向け加工もできますので、作りたい方はどうぞお問い合わせください。

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お問い合わせはコチラから。

 

 

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2023年1月18日 (水)

2016 YZ450Fスーパーモト仕様(中古)

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2016年式YZ450F

74.8万円(税込)

丁度1年前にエンジンとサスをオーバーホールしました。

エンジンはシリンダーヘッド、シリンダー、ピストン、クランク、ほぼ全てのベアリング、ウォーターポンプ、オイルポンプを交換しました。

その後の走行時間は30時間ほどです。

新車からモタード化している車両なので、傷はありますがMXで使っていたような感じの傷み方はしていません。

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リムは前後ともZETAでフロントは純正ハブでリアはハブもZETAです。

F3.50×16.5

R5.00×17

前後ともチューブレス加工済

今回ベアリングも前後とも交換しました。

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外装はポリスポーツの黒に社外品のグラフィックを貼ってあります。

ちょっと安い奴で薄くて貼りずらく、空気が入っている所やしわになっている部分もあります。

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キャリパーは手持ちのレーシング30/34の40mmピッチをシール交換、ブリッジボルトも新品にしてパッドはサンスターのレーシングパッド(17600円)にパッドピンを新品に。

キャリパー取付ボルトにはチタンボルトを使っています。

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キャリパーサポートも新品ですがオフセットが合ってなかったので、切削して合わせてあります。

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ブレーキローターもブレンボのモタード用5.5mm厚です。

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マスターはブレンボRCS15にオイルタンクステーを作って取り付けてあります。

ブレーキホースやフィッティングは新品です。

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レバーは個人的な好みでショートレバーからロングレバーに変更。

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クラッチレバーはZETAのフライトパーチで引く重さが軽くなっています。

これもレバーを3フィンガーから4フィンガーへ変更してあります。

ハンドガードはCYCRAでハンドルはプロテーパーのKXHIGHです。

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チェーンスプロケットも新品にしました。

チェーンはDIDの520ERVTです。

スライダーも新品にしてあります(YZはスライダーが減るとチェーンの抵抗が凄くて、ホイールの廻り方が凄く重くなります)。

スイングアームには、以前チェーンの横ブレローラーが付いていたのですが、取り外したので取付穴にはリベットを打ってあります。

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スーターのスリッパークラッチも開けて点検しました。

セカンダリースプリングもオプション品があります(現在一番エンブレがキツイ仕様)。

クラッチ板も新品にしました。

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ハウジングも外して、YZでよくあるクラッチセレクターの押さえ板が割れていないかチェックしました。

サスペンションはフロント30mmショートでワンランクバネレートを下げてあります。

リアの車高はそのままですが、前後ともモタード用にリバルビング済み。

アクラポビッチのチタンフルエキゾーストを装着してあります(ノーマル有)。

ラジエターも少し大きい奴が付いています。

キック仕様ですがまだ全日本の公認も残っていますし、履歴がすべてわかっていて程度も良い出来上がった車両はなかなか出てきません。

私が乗ろうと思ってかなりの新品パーツを投入して作ったのですが、諸事情で販売することにしました。

お問い合わせはコチラからお願いいたします。

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2022年12月27日 (火)

年末年始休みのお知らせ

すっかりblogを書かなくなって、久しぶりに書くにも遅くなってしまった告知になります。

今年の営業は明日28日までで、年明け後1/4より営業いたします。

正月休み

12/29~1/3

 

と言いつつ、明日は4回目のワクチン接種に行く予定でして、午後1時頃より開店予定です。

また個人的な事ですが、親の体調が思わしくなくそれに合わせて店を閉めることが今後増えるかと思います。

申し訳ありませんが、急ぎの仕事で納期に間に合わない可能性が高いので、そういったお仕事はお断りすることになるかもしれません。

レース関係でギリギリに持ち込まれてレースに間に合わせてほしいと言う事が結構多いのですが、来年はそういうのはお断りすることになるかもしれません。

 

いつこういった状況が変わるのか、現状分かりませんので、ご来店の際は前もって連絡をいただけると助かります。

メールアドレスはコチラから

遠方の方は特にお願いいたします(それでも急にお断りすることがあるかもしれません)。

申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

 

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2022年4月28日 (木)

GW休みのお知らせ

blogを書くと言いつつ、GWになってしまいました...

 

GWのお休みですが、5/3,4,5をお休みとさせていただきます。

それ以外でも出かけている事もあるかもしれませんので、来店の前にご連絡を頂けたらと思います。

 

よろしくお願いいたします。

 

TEL 022-341-4230

mail garageopb@gmail.com

 

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2021年12月31日 (金)

年末年始休みのお知らせ

遅くなりましたが、当店12/30~1/4までお休みとさせていただきます。

1/5はお昼より営業いたします。

今年もあっという間でした、このコロナ禍の中オリンピックできるのかどうかと揉めていたのが、もうずいぶん前の事のように思います。

バイクの生産が滞っていて、新車がデリバリーされない故に中古車両の価格も高く、なんか無駄に高くなっている車両を売るのが嫌で、仕入れをほとんどしておりませんでした(商売的によくないのですが...)。

来年もやれることをやって、楽しく走れたらいいなと思っております。

また、一緒に走れるお手伝いをしていきたいと思いますので、ご用命のほどよろしくお願いいたします。

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それでは皆様、良い年をお過ごしください。

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