« モタードマシンの作り方(その1) | トップページ | モタードマシンの作り方(その3) »

2023年5月21日 (日)

モタードマシンの作り方(その2)

モタードマシンの作り方の続きです(その2)

細かく説明したり、実例を挙げていくとものすごい量になるので(画像をあさっていて言いたいことや注意点を考えていたら、ものすごい量になった)、そこそこ端折っていくことにします(終わらないので)。

 

過去に書いたもので、個人で作ったモタード車両の手直しや修理等、とんでも改修(おかしいなと思ってバラしたらびっくりした内容)などが比較的まとまっている月があったので、リンクを貼っておきます。

 

過去の記事(2020年1月)

 

前回の記事にホイールサイズGP3用(F2.50×17、R3.50×17)というのがありましたが、これは250cc(S2車両)やS3車両の中でもミニモトクロッサー(2stの85ccやCRF150R)ですね。

S2ですとレギュレーション上スリックで良いのですが、S3だとパターンタイヤになります(レースに出なくてサーキットを走りたいだけという方は特に関係ありませんが)。

ちなみにGP3スリックのメリットとしては...

 ・安い(通常のモタードスリックと比較して。またパターンタイヤよりも持ちが良いので、結果的に安い)

 ・車高が低い(細いタイヤはハイトも低い。また、車高を下げても旋回しやすいので、ミニバイクから乗り換えるのならアリだと思います)

 ・細いのでバイクの倒しこみが軽い

 ・タイヤが細いとダートでの轍等走りやすいし、トラクションも掛けやすい(タイヤが喰う)

デメリットは

 ・見た目に迫力がないw

 ・スライドを多用する走りには向かない

 

S3マシンで普段はパターンタイヤで、たまにスリックを履くとグリップが強くて曲がらなくてタイムがあまり変わらないと言う事が起こります。

 

街乗りの方向けですが注意点としては下記になります。

 ・タイヤの表記と実測値は違います(α13の150幅表記で実測160mmあるなどホイールのオフセットをし直す必要や入らない物もある)

 ・F3.50リムの場合、リッターSSやツアラーと同じタイヤを使う事になる(剛性があり過ぎて接地感が無い)

 

というわけで意外と使えるタイヤは少ないですし、相性もスリックよりも難しかったりします。

特にレーサーにナンバーを取って公道で乗る際に顕著になります。

車重が軽くハイパワーなものほど、ちょっとしたことでバランスが崩れるので、難しいんですよ。

今だから言いますけど、イタリアンハスク、KTM690SMCRもしばらく乗りましたけど燃調や、足回り、ファイナルもそこそこいじらないと乗って楽しい車両では全くなかったです。

まあ、どんな車両でもあくまでベースで、手を加えたり調整しないと使えるものではないと(乗りづらい)思っていただいて良いと思います。

個人的にはDR-Z400SMが公道で乗るモタードとしては一番好きです(ただし改修点は多岐にわたります)。

Img_20230325_195633966_hdr 

Img_20201118_184100009

ちなみにどちらもタイヤはROAD5を履かせてあります。

サーキットを走るわけでもないですし、峠位ならこのくらいでちょうどいいです。

ミシュランやピレリなど外国製タイヤは、ケース剛性が低く空気圧でフィーリングがかなり変わります。

大きい車両向けのタイヤを履くことになるので、調整幅はあった方が好みに合わせやすいかと思います。

 

ホイールの話を少し追加でしたいと思います。

スポークとキャストのメリットデメリットも少しお話ししたいと思います。

 

スポークホイール

 ・安価(キャストホイール比。今はコンプリートホイールで安い物も多く、ノーマルハブを使うよりも安上がりな物も多い)

 ・フロントブレーキキャリパーとの接触を避ける為に、キャリパーやブレーキディスク使用できる物の選択肢が少なくなる。

 ・スポークは必ず緩む(正確にはテンションが抜けるので定期的な増し締めが必要。)

 ・チューブが必要。チューブレス化した場合定期的なチェックが必要なのと、タイヤの相性がありエア漏れするものがある。

 

キャストホイール

 ・高価(マルケジーニでCRF用F3.50×16.5、R5.00×17前後セットで352000円)

 ・キャリパーとの干渉を考えなくていい。

 ・エア漏れの心配がない。

 ・普段のメンテナンスが楽(スポークのチェックなどが無く、ベアリングは1個1000円程度)

 ・ホイール部分は一緒でアタッチメントが車種専用なので、他車種に乗り換えても継続してホイールを使える(長く使うなら安価になる)

 

特性としてキャストはスポークよりも高剛性です。

これはメリットでもありデメリットでもあります(どちらのホイールでも)

オフロードではスポークの方がしなやかでトラクションさせやすく、高速コーナーではキャストの方が剛性感があります。

あと、スポークホイールでリムが曲がると修正は難しいのですが(叩いてOKというのであれば別ですが)、キャストは多少なら修正もできます。

ちなみにマルケジーニはレースで17年も使っている人もいます(同じホイールを)。

 

まあこの辺は好みと予算でしょうか。

Img_20190509_180019_20230523211001

スポークホイールをチューブレス化した際は、必ず石鹸水等でエア漏れのチェックを行います。

これはタイヤ交換した時やスポークを増し締めした際も行います。

Img_20190629_225732_20230523211201

エア漏れはリムとタイヤの間、もう一つはニップルからの2種類になります(重要)

FS450に使われているアルピナのホイールは、ミシュランの16.5インチタイヤを履くとかなりの確率でスローパンクチャーがでます。

この場合はリムとタイヤの間からのエア漏れになります。

この辺は相性があるので、実際に試してみないと分からない部分でもあります(中古タイヤとかは漏れる確率が高くなります)。

 

チューブレス化にも触れておきましょう。

私がチューブレス加工する際はOUTEXさんのチューブレスキットを使っています。

お客様の依頼で行いますが、いくつかのコンプリートホイールではお断りしています。

それは最初はうまく施工できても、後々漏れることが何件かあったホイールがあるからです。

構造上しょうがないのですが、チューブレス加工したホイールで出先でエア漏れ(パンクではない)になると、修理することもできなくなるので大変困ることになります。

 

下の画像はそうなった後、非常に困った修理がされた例です。

Wheel2

 

Image-34_20230523212001

タイヤ交換だけのつもりで、タイヤ外してこうなっていると、大変困ります(私もお客様も)。

また、中古のホイールに施工する際も手間がかなり増えます。

Img_20190823_183611_20230523212201

まずオフセットが合っているか、そして振れが無いかチェック。

で、その後にこういうサビや出っ張っている部分、リムの内側にこびりついてるタイヤクリームのカスを除去して、やっと施工できます。

正直、中古は新品の倍は時間が掛かります(まあ、新品でも振れやオフセットは見ます)。

Img_20190823_200103_20230523212501

これはニップルがかなり出っ張っている物です。

これに真っすぐテープを貼っていくのは、かなり困難です。

Image-13

手前から2個目と3個目では、ニップルの飛び出し具合が違いますよね。

ニップルを交換して施工する場合もあります(普通に組んだ方が早いんで2度手間なんです)。

Img_20190630_141126_20230523212801

ちゃんと施工するとこんな感じになります。

スポークホイールはどうしてもスポーク折れがありますので(大抵スプロケット側のハブ部スポークの頭が飛びます)、その場合はこのテープを一部カットして、スポークを入替てまたテープを張る作業が必要になります。

モトクロッサーとかはハブダンパーも無いですし、450の特にCRFシリーズはスポークが32本と少ないので(普通は36本)まあよく折れます。

KTM690SMCなどは違った形で(巨大なリムバンド)エアをシールしていますし、アルピナも違う方法です。

ただ、ほぼすべてのスポークホイールでスポークの張りをチェックするのは必須です。

 

痛い代償を受けることがありますので...

 

※追記

スポークホイールは新車時、及び製作後初走行時は一番緩みます。

その後数回は乗るたびにチェックした方が良いです。

正確にはニップルとリムが走行時に叩かれてスポークへのテンションが抜けるのが「緩む」と表現されます。

しばらく走るとアタリが付くので、過度に緩むことは無くなります。

新車のモトクロッサーのナラシで、嬉しくてジャンプ飛びまくってニップルチェックしないと、一日でスポーク折れるなんてこともあります。

 

ちなみに前回のblogでお話しした、スプロケットが締められないホイールとかこういう物です...

Image-35

スプロケボルトとスポークとのクリアランスがありませんね。

つまりメガネレンチが入りません(クロウフックなら入るものもあります)。

Image-19

ボルトを限界まで短くして、メガネレンチを薄くして(初めから薄い物もあります)締めます。

ナットの2面幅を小さくしたり、結構苦労します(設計者は何を考えているんでしょう)。

ナットの方で締めないと、スプロケット飛ばしますので大変危険です(変な社外品ボルト&ナット、信頼できないチタン品など)。

 

もう一つスプロケットの座面の画像もあったので貼っておきます。

Image-40

アタリが悪いですね、鉄のスプロケットでも割れたのを数回見たことがあります。

こういうのはちゃんとしてボルトを使っていても緩む場合があるので、割れたりボルトが飛び出してスイングアームと接触したりします。

 

スポークとの干渉もあるのでフロントブレーキも一緒に書きたかったのですが、長くなったのでブレーキはまた次回にしたいと思います。

 

 


« モタードマシンの作り方(その1) | トップページ | モタードマシンの作り方(その3) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。