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2023年8月30日 (水)

モタードマシンの作り方(その4)

やっと4回目です。

最初の回にサイレンサーを少し車体外側に移設する事もあると書きましたが、大抵はカラーをサイレンサーステーとサブフレームの間に入れることが多いですが、せいぜいやっても10mm以下でしょうか。

それ以上になりますと、カラーを入れたことによってサイレンサーのステー、エキパイの取り付け部、ジョイント部にストレスが掛かり割れや削れによって排気漏れが起こることになります。

またカラーを入れた場合は、車体に対して斜めに外に出る(前側はエキパイとつながっているのであまり外に出ないが、サイレンサー後端はフリーなので斜めになる)のですが、ネジの取り付け部は平なのでここでもあまり長いカラーを入れるとストレスとなります。

よくこういう加工がされているマシンを預かるのですが、長さが短いボルトでサブフレーム側のネジ山が舐め掛けていたり、ボルト自体はネジ山に対して斜めになるので、これもネジ山がダメになる要因になります。

 

ではどうするのが一番良いかというと、サイレンサーやエキパイ部を切って角度を変えてつなぎ直すことになります。

チョットした事のわりに工数が多いのですが、安心してトラブルのない車両にするためには仕方のない事だと思います。

で、例はリア回りの寸法に余裕のないRMZ250です(ミシュランのタイヤを履くとタイヤとスイングアームがあたるのと、サイレンサーとタイヤも当たる)。

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ミシュランタイヤ(一番太い)とアクラポビッチ(これもサイレンサー下側が太くノーマルよりも太い)の一番あたる組み合わせです。

あてている棒の太さは10mm厚になります。

このままではサイレンサーを破壊してしまうので30mmほど外に出さないといけません。

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というわけでまずはカットしてサイレンサーには必要な厚みのカラーを取り付けます。

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斜め上から見るとこんな感じです。

エキパイのもっと前方から斜めに何か所かカットして無理なくつなげられるような曲線にします。

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足りない部分が出てくるので、それはチタン板を巻いて作ります。

仮付けして合わせて問題なければ溶接します。

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本溶接して...

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こんな感じにクリアランスができました。

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サイレンサーを外に出したので、サイドゼッケンもカラーを入れて外に出します。

吸気も増えるので(音はうるさくなりますし、泥も入りやすくなりますが)モタードならヨシという感じです。

 

さてここからは無くても良いけどあった方が良いパーツです(ステム、シフター、スリッパークラッチ)

個人的な優先順位はステム→シフター→スリッパークラッチになります。

 

まずは最近変更する人がすっかり多くなったステムです。

XTRIGが多いですが、モタード用はオフセット量をノーマルよりも減らしたものになります。

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小径ホイールを履かせると、トレール量が少なくなるのでそれを補う為の物なんですが効果としては下記のとおりです。

・純粋にホイールベースが短くなる

・一番不安定なアクセルオフ時のクリップ付近での安定性のアップ

デメリットとしては

・ハンドリングが重くなる

・ハンドル切れ角が減る

 

ですが、元々ハンドリングが軽い(前荷重が少ない)ので特にハングオフで乗られている方は、取り付けた方が安心感が出るかと思います。

切れ角は、まあモタードなら問題ないレベルでしょう。

先ほど書いた一番不安定なアクセルオフ時のクリップ付近、その時にさらにステアリングを内向させるときに接地感というか抜け感が減るので、個人的にはまず入れたいパーツです。

取り付ける際にちゃんとステムベアリングにプレロードが掛かっているかどうか確認しましょう。

車種によって微妙に取り付け方が違うので、ここを確認しないと全く意味が無くなってしまいます。

またステムはハンドリングに一番敏感な部分ですから、慎重に確認しながら組み上げましょう。

締め付けトルクによってハンドリングがかなり変わりますので、この辺はご自身でセットアップとして色々と試していただきたい部分です。

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それと洗車によって水分が入りやすい部分でもありますから、チェックとベアリングのアタリの確認。

交換の際も取り外し、圧入も気を付ける部分が多い所です。

この部分がダメだと全くセットアップが進みません(問題が出ることが多い)。

中古車を買った場合には、まずばらして確認する場所でもあります。

ちなみみに過去2台ほど中古車両に付いていましたが、ちゃんと組付けられておらず大チャタリングマシンでした。

前オーナーはどうやって乗ってたんだろうかと不思議になるレベルでした。

 

 

次は私がモタードマシンを作る際には、ほぼ必ず取り付けるシフターです。

ロードマシンでは常識ですが、私は全日本初年度の2005年からずっとつけて走っています。

オフロード車両はチェンジペダルがシフトシャフトに直付けなので、センサー類が取り付けづらくなっています。

以前はバトルシフターのプル式機械スイッチ、今はヒールテックの圧力センサー式の物を使っています。

一時期光学や磁気センサーの物を試しましたが、これはちょっと使いずらいと言うかいくつか問題があるのですぐ使用を止めました。

これは取り付け方にいろいろあるのですが、根本的な問題は同じだったので使用をやめたという感じです。

 

現在使っているヒールテック製のシフターの取り付け例。

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これは2018年式CRF250Rに取り付けたものです。

今の車両はセル始動の物が増えたので、バッテリーを搭載しているので以前よりは取付しやすくなりました。

またこのシフターはインジェクターをカットする方法なのですが、電源をインジェクターから取るので配線も楽になっています。

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一番の肝は圧力センサーの取り付け方になります。

取扱説明書に取り付け方は乗っているのですが、それだと安定した動作ができない(安定している時間が短く調整が細かく必要)のと、チェンジペダルのスプライン部の消耗が激しくなるので、ウチではその辺を工夫して取り付けてあります。

チェンジペダルとシャフトに加工は必要ですが、だいぶ安定して動作させることができるようになりました。

調整も機械的な部分と感度はスマホのアプリからできるので、現地でもそんなに困ることはありません。

スロットルを開けっぱなしでシフトアップができるので、吸気の押し込み効果が途切れることが無く確実にタイムアップすることができます。

ただ操作や調整に慣れは必要です。

 

次はスリッパークラッチです。

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スリッパークラッチはエンブレを制御するパーツなんですが、メリットとしては...

・エンジンブレーキの効き具合の制御ができる(エンブレの強弱)

・シフトダウンがしやすくなる(アクセルオフ時にはクラッチ操作が不要になる)

・アクセル全閉から開け始めが少しやり易くなる

・スライド時にクラッチ操作が不要になる

 

デメリットとしては...

・ノーマルのクラッチユニットが付いていたスペースに、複雑な機構を入れてあるので、多少設計に無理のある物もあり、ノーマルよりもマメなチェックが必要。

・クラッチスプリングがコイルスプリングから板バネになるので、半クラッチの幅が狭くつながりが少し唐突になる。

・エンブレの制御ができるが、全てのコーナーで同じようになるのでコーナーのRによってエンブレを強くしたい、弱くしたという細かい設定はできない。

・アクセルオフ時につねに半クラにしているので、ノーマルよりはクラッチ板の消耗は激しい。

 

個人的には450ccのモトクロッサーベースだとあったほうが良いと思っています。

これはバックトルクが強いので、合ったほうがクラッチ操作が楽になるから(450はクラッチが重い)。

スリッパークラッチを入れると動作中に半クラをするとレバーで指が叩かれるモデルもありますが、そうならない物を使うと細かいバックトルク管理もできます。

 

逆に250ccのモトクロッサーベースなら私は使いません。

理由は元々バックトルクが強くないので、スリッパークラッチを入れるとエンブレ効かなさ過ぎて旋回がうまくできない(スライドがうまく使えない)からです。

エンブレの調整はアイドリングを上げたり下げたりして調整していました。

 

市販車(例えばWR250Xなど)はあった方が良かったです。

まずギア比がワイドなので、1速落とすとエンブレがかなり強いのと、ブリッピングしてシフトダウンさせようにも回転の上りが遅いのでぎくしゃくしやすく合わせにくかったからです。

特にファイナルをショートにして乗ってる場合には、効果は大きかったです。

 

街乗りの車両だと私は使いません。

コースほど忙しくないし、街乗りだと半クラを使う時に半クラ領域が狭いので気を遣うからです。

 

この辺は個人的な感想ですので、入れて早い人、入れてなくて速い人いますので、これはご自身で試していただくしかないでしょうかね。

その割にはそこそこ高いので、躊躇しやすい部品かもしれません。

ウチでは最近入れる場合はSUTER製の物を入れる場合が多いです。

これはエンブレの制御をするセカンダリースプリング(1枚1万円弱する)が複数枚付いてくるので、セットアップの幅がある(試しやすい)。

エンブレ時にクラッチレバーをさらに握りこんでも、レバーに叩かれることが無い(STM物は叩かれるものが多かった)。

クラッチセンターが緩みにくい(すべてでは無いのですが...)これはSTM比でしょうか。

 

ただ、どうしてもノーマルよりは削れる部分やスプリングが割れることなどあるので、定期的なチェックは絶対に必要です。

表面のアルマイトが剥がれかけたじょうたいであれば、再アルマイトすればまた問題なく使えたりしますので、使いっぱなしにはしないようにした方が良いでしょう。

 

次はメインテナンスとかにしようかと思ったんですけど、例えば中古の車両を買ってまずすることって考えると...

 

「全バラ」

 

としか言えなくなるのでどうしましょうかねぇ...

 

 

 

 


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コメント

お世話になります。
本日中ハスクバーナSM250Rのインテークマニの件でお問い合わせ致しました、田中です。よろしくお願い致します。

投稿: 田中  | 2023年12月25日 (月) 18時43分

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